「ああ……」

思わず漏れたため息に目を閉じていた。

短い文章なのに生々しい場面が想像できてしまい、吐きそうなほど気持ちが悪い。

だけど、見なくちゃ……。

沙希を殺した犯人を見つけるためには、相手を知ることが大切なのだから。
自分を奮い起こしてもう一度白い文字を辿る。
淡々と記されている殺害時の様子だが、文字のひとつひとつが怒りに満ちている気がした。
下へスクロールしていく指がぴたりと止まった。

そこには沙希の恋人である井口大輔の文字がある。
どうして井口大輔の名前がここに……？
眉をひそめると同時に、さっき和宏が『外に来てほしい』と言っていたことを思いだした。

慌てて着替えてからスマホを手に階段をおりた。
リビングをのぞくと、母はソファで横になって寝てしまっていた。