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やがてマグカップに入ったココアが運ばれてくると、湯気とともに甘い香りが広がった。
横には和菓子から塩気のあるスナック菓子まで何種類もある。
ふたりで見るともなしにテレビを眺める。

「もう一カ月が過ぎたのね」

テレビに視線をやりながら母がひとり言のようにつぶやいた。沙希のことを言っているとすぐにわかった。

「あ、うん」

「まだ苦しい?」

マグカップを口に運んでからうなずく。

「悲しいし苦しい。でもさ、沙希を殺した犯人は見つけたいんだ」

「ドラマとか映画じゃないんだから、そんな簡単に犯人は見つからないわよ。あなたは危ないことはしないで」

「うん」

うなずいてから、チョコレートを口にほおりこんだ。

ココアの甘さに負け、苦さが口に広がる。