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「お、おはよう」

結菜が真っ赤な顔で言うと、和宏は軽くうなずいてから机に臥せってしまった。
朝が弱いのはあいかわらずのようだ。

「つまり、アプリの作成者を調べるのは難しいってこと?」

久保田に意識を戻して尋ねる。

「たとえばな、スーパーで売っている鮭を持ってきて『この鮭は、どの川のどの場所で生まれたんですか?』って聞いてるようなもんやわ。簡単には調べられへんと思うで」

「でも警察ならなんとかなりそうなものじゃない? 内部に侵入するとかできそうじゃん」

私の疑問に久保田はバンザイよろしく両手を上にあげた。

「たぶんアプリ自体が外国で作られたと思うんや。そしたらかなりめんどくさいことになる。外国のサーバーを経由して配信されているなら尚のことや。現に今もわかってないんやろ?」

「たぶんね……」

絶望的な気持ちのなか、今日も始業のベルが鳴った。