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小声で尋ねる結菜に私は両腕を組んだ。

「それがさ、進展がないんだよね」

鈴木刑事とはあの夜にSNSメッセージのアドレス交換をし、たまにやり取りをしているが犯人につながる手がかりは見つかっていないらしい。

「でも裏BBSのことは教えたんでしょう? だったら、アプリを作った人のことはすぐにわかりそうなものなのに」

不思議そうな顔の結菜に、

「それがちゃうねん」

登校してきた久保田が大股で歩いてきた。
大きな体をドスンと椅子に座らせると、久保田は私と同じように太い腕を組んでみせた。

「アプリの管理人を調べるにはデベロッパーツールとかを使えばええんやけどな、僕たちに調べられるのは最終更新者くらいなもんや。それも、迷惑サイトのIPアドレスみたいに時間で管理者をランダムに変える機能がついてたらおしまいやし――」

「ごめん、ちょっと待って。全然話についていけない」

久保田を制すると、

「そんなこともわからんのか」

とツッコミを入れられてしまう。そこに和宏が寝ぼけた顔でやってきた。思わずどきっとする。