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「……あのね、芽衣」

気弱な声に顔をあげると、結菜はキュッと唇をかんでいた。

「私ね、稲垣さんとはすごく仲がいいってわけじゃなかった。でも、たまに芽衣に連れられて、話をしたときにさ……。緊張したけどすごく楽しかったの」

なんて答えていいのかわからずに固まる私に結菜は少し笑った。

「怖かった気持ちもあるよ。だって稲垣さん、言葉づかいが乱暴だったし、すぐに怒るし」

「たしかにね。『うるせー』とか平気で言ってたもんね」

またうしろの席に目をやってから私も笑った。
机があった場所には太陽の光が穏やかにふっている。
学校で会うと彼女は私に悪態をついて笑っていた。
元気がない日は、『なに落ちこんでるんだよ』と背中を強くはたかれた。
沙希はたしかに私と同じ時間を生きていたんだ。

結菜が私の机の上で自分の両手をギュッと握った。

「私もさ、稲垣さんにひどいことをした犯人を見つけたい」

「うん」

「協力するからなんでも言ってね。この間警察に行ってから、その後はなにかあったの?」