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感情がバレないよう平気な顔を作って歩き出すけれど、寒さに鼻を赤らめている和宏を余計に意識してしまう。

「で、警察の人はなんて言ってた?」

そう尋ねる和宏に私も冷静になるよう自分に言い聞かせて答える。

「やっぱり……あのアプリを作った人……ううん、執行人が犯人みたい。現場に赤い手紙が置いてあったんだって」

鈴木刑事に聞いた話を説明している間、和宏は言葉を挟まずじっと前方をにらんでいた。

「そっか……。稲垣は犯人に予告されていたのか」

「そういうことみたい。ねぇ、どうしてこんなことになっちゃったんだろう。沙希、すごくいい人だったのに」

私の声に和宏は鼻から深く息を吐いた。

「そうだよな。悪ぶってるところもあったけどさ、俺はああいう裏表のない性格、すごく合うんだよな」

過去形じゃない和宏の言いかたに心がホッとする。彼はやさしい人だと思った。

「私も沙希のことが大好き」

「ほら、よく口グセで『いつ死んでもいい』なんて言ってたろ? まさか本当になっちまうなんてな……」

さみしげにつぶやく和宏に私はうなずく。

「だから沙希を殺した犯人を許せない。絶対に犯人を見つけてやるんだ」