「アプリ? 俺はガラケーのままで、そういうのは疎いんだよ」
「ガラケーなんてまだあるの? 鈴木さんて歳はいくつ?」
「二十八」
「え!?」
「言うな。自分でも老けていることは自覚している。これでも髪を切って若返ったと署内では評判で……。ていうか、画面を進めて」
ごつい指先で画面を指してくるので先へ進む。
MOVERのトップ画面に現れる手のマークを何度も押してから、ようやく裏BBSへたどり着くと、画面が赤一色に変わった。
スマホごと鈴木刑事に渡すと受け取って読み出す。すぐに見開かれた目が、驚きを表していた。赤くなったり青くなったりして、執行人の書いた裏BBSを読み終わると、鈴木刑事は私を見た。
「稲垣沙希の死は予告殺人だったのか……」
「でも、ニュースを見た人があとで書いた可能性もあるでしょう?」
学校での会話を思い出して言う私に、鈴木刑事は太い首を横に振った。
「いや、違う。殺人を犯す前に犯人が書いたものだよ」
「どうしてわかるの?」
不思議に思って尋ねると、鈴木刑事はもう一度スマホをスクロールさせてから、
「……言うよ」
とあきらめたようにうなだれた。
「ひとつ言ってなかったことがある」
「やっぱりウソをついてたんだね」
口をとがらす私をスルーして鈴木刑事はスマホをそっと机の上に置いた。
「ガラケーなんてまだあるの? 鈴木さんて歳はいくつ?」
「二十八」
「え!?」
「言うな。自分でも老けていることは自覚している。これでも髪を切って若返ったと署内では評判で……。ていうか、画面を進めて」
ごつい指先で画面を指してくるので先へ進む。
MOVERのトップ画面に現れる手のマークを何度も押してから、ようやく裏BBSへたどり着くと、画面が赤一色に変わった。
スマホごと鈴木刑事に渡すと受け取って読み出す。すぐに見開かれた目が、驚きを表していた。赤くなったり青くなったりして、執行人の書いた裏BBSを読み終わると、鈴木刑事は私を見た。
「稲垣沙希の死は予告殺人だったのか……」
「でも、ニュースを見た人があとで書いた可能性もあるでしょう?」
学校での会話を思い出して言う私に、鈴木刑事は太い首を横に振った。
「いや、違う。殺人を犯す前に犯人が書いたものだよ」
「どうしてわかるの?」
不思議に思って尋ねると、鈴木刑事はもう一度スマホをスクロールさせてから、
「……言うよ」
とあきらめたようにうなだれた。
「ひとつ言ってなかったことがある」
「やっぱりウソをついてたんだね」
口をとがらす私をスルーして鈴木刑事はスマホをそっと机の上に置いた。



