「稲垣沙希……被害者の死亡推定時間は10月1日の0時から3時の間。目撃者はなし。遺体からは大量の睡眠薬が検出された。恋人である井口大輔は事件の数日前から北海道へ出張しておりアリバイは立証されている」
うなずきながらメモを取る私をチラッと見てから、鈴木刑事は続ける。
「被害者の父親は猿田高等学校をはじめとする法人の理事で、内部の権力争いがなかったわけじゃないそうだ。被害者への怨恨だけでなく、父親への恨みの線もあると考えている。ちなみに母親は五年前に亡くなっている」
「そうなんだ」
「通り魔の可能性も捨てられないから、いろんな可能性を視野に入れて捜査を続けているところだ」
通り魔なんかじゃない、と思った。
そうじゃないとあの夜の電話や、裏BBSの説明ができないから。
手帳をパタンと閉じる音に顔をあげると、鈴木刑事が鼻の頭をかいていた。
「以上が、警察の情報ぜんぶだ。次はそっちの番」
「ウソだ。まだ言ってないことがあるでしょう?」
「はぁ? いい加減にしろよな。洗いざらい話をしたのに不公平だろ?」
うなずきながらメモを取る私をチラッと見てから、鈴木刑事は続ける。
「被害者の父親は猿田高等学校をはじめとする法人の理事で、内部の権力争いがなかったわけじゃないそうだ。被害者への怨恨だけでなく、父親への恨みの線もあると考えている。ちなみに母親は五年前に亡くなっている」
「そうなんだ」
「通り魔の可能性も捨てられないから、いろんな可能性を視野に入れて捜査を続けているところだ」
通り魔なんかじゃない、と思った。
そうじゃないとあの夜の電話や、裏BBSの説明ができないから。
手帳をパタンと閉じる音に顔をあげると、鈴木刑事が鼻の頭をかいていた。
「以上が、警察の情報ぜんぶだ。次はそっちの番」
「ウソだ。まだ言ってないことがあるでしょう?」
「はぁ? いい加減にしろよな。洗いざらい話をしたのに不公平だろ?」



