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「あの、沙希の……いえ、稲垣さんの事件って進展ありましたか?」

すると鈴木刑事は、「ああ」と軽くうなずいた。

「でも君に言う必要はないだろ?」

やっぱり横柄な人だ。

「なんでよ。ちゃんと教えてよ」

「捜査上の秘密を守るのは、刑事の鉄則だ」

たしかにそういうものかもしれない。
でも、このまま帰っては警察にすべてを任せてしまうことになる。
犯人を見つけることが沙希への償いだとさっき決意したばかりなのに、なにやってるのよ。
自分を戒めると、私は憮然としている鈴木刑事に作り笑顔を浮かべた。

「沙希の事件について、すごく重要な情報があるの。それを教えたくて来たの」

「なに?」

ピクッと肩眉をひそめた鈴木刑事に、私は続ける。

「でも私も、沙希を殺した犯人を自分なりに見つけたい。だから、私が情報を提供するかわりに、そっちも情報を教えてよ」

「はぁ?」

「同じ犯人を追う者同士、有益な情報を交換する価値はあると思う。そっちが教えてくれないのなら、私も教えない」

私の言葉に目の前の表情が一瞬でこわばった。