みんなと別れるとその足で警察署に向かった。
先日鈴木刑事にもらった名刺の住所は、駅裏にある中央警察署だった。
このあたりではいちばん大きい警察署だ。

十一月まであと少し。
夕暮れはさすがに季節を教え、風が吹くと寒いというより痛い。
到着するころには、辺りは暗くなってきていた。
受付でこの間もらった名刺を見せると、ほどなくして本人があらわれた。

「こんなところに来るなんて、どうかしたのか?」

驚いた表情の鈴木刑事が前ほど横柄に見えないのは、あのときは焦っていたからだろう。
館内は暖房が効いているとはいえ、こんなに寒いのにTシャツ一枚しか着ていない。
そのせいで厚い胸板と太い腕が強調されているように見えた。
勧められるまま、受付の前に並ぶ長椅子に座る。