「裏BBSに行くには、けっこうな手間がかかるんだよ。沙希が偶然たどりついて自分の名前を見たとは考えられないよ」

疑問を口にする私にそれまで黙っていた結菜が、

「どこかにマニュアルがあったとかかな?」

と口にした。

「マニュアル?」

「ごめん、わからないけど……」

困った顔の結菜を助けるように、

「まあ結菜さんみたいにいろんな方法を考えてみよう」

と、和宏が言った。ああ、そんなことだけでもう結菜は感動で目を潤ませている。

「じゃあ僕の考えを言うで」

久保田がそう言うと、その太い腕を組んだ。

「案外、犯人が稲垣さんにやりかたを教えたんちゃうかな。『このアプリのこれをこうやってみるとおもしろい画像が見えるよ』みたいな感じでや」

なるほど、とうなずく。

「教えられたとおりやってみたら、自分の殺害予告がされていたってことだよね。それならありえるかも」