「どう思う?」

画面を指差しながら、私は和宏と久保田を見あげた。
誰もいなくなった教室にみんなを残し裏BBSを見せたのだ。
一歩下がって結菜もおそるおそる話に加わっている。

風邪明けで登校した私は、朝いちばんで裏BBSの話を伝え放課後になるのを待った。
授業中もなんどもあの掲示板の文章を繰りかえし思い出してしまい、落ち着かなかった。

「ウソだろ……やばすぎじゃん、これ」

和宏が目を大きく見開いて私の渡したスマホを凝視している。
久保田は腕を組み感心している様子。

「裏BBSとはすごいもん見つけたなぁ」

「稲垣は、これを知らされたことに驚いて芽衣に電話したってこと?」

和宏の質問に、私はあいまいにうなずいた。

「たぶんそうだと思う。今考えるとさ、あの時の沙希はすっごく不安そうだった。それに『赤い画面』のことをしきりに言っていた。私がもっと早く気づいていればよかったのに……」

「まぁ、しゃーないわ。こんな裏画面は絶対にわからへんもんな」

久保田の関西弁が、こういう時はやさしく聞こえて助かる。
和宏も「そうだな」とスマホを渡してくる。

「機械に疎い芽衣には絶対見つけられないから安心しろ」

言葉はキツくても、言いかたや表情でやさしさが伝わる。
きっと和宏なりに心配してくれていたのだろう。
それよりも今は沙希のことだ。
手がかりがあるのなら放っておけない。