パタパタパタ
自分の部屋へ戻る直樹の足音が聞こえ、
「お兄ちゃーん」
と声をかける。アプリに詳しい救世主の存在を忘れていた。
直樹が勤めていた前の会社はたしか、アプリを開発する会社だったはず。
「どうした?」
遠慮しているのかドアを開けずに直樹が尋ねるので、部屋へ招き入れた。
「ねぇ、このアプリ見てよ」
半ば強引に椅子に座らせると、スマホを渡しこれまでの経緯を説明した。
気軽な様子だった直樹も、MOVERの話をすると真剣な目になり画面に集中してくれた。
指先でアプリのメニューを行ったり来たりしながら、眉をひそめる。
「その友達はMOVERでアップされている動画を見て怖くなり芽衣に電話してきたってことか」
「でも、どこを探しても赤い画面が見つからないの」
「だとしたら、投稿者自身が動画を削除した可能性がある。ほら、ここに〈削除〉ボタンがある。最初にパスワードを設定しておけば、いつでも消すことができるんだ」
「でも、沙希は何度も赤い画面のことを言っていたんだよ。投稿の内容についてのことじゃなかったと思う」
「ふむ」とあごに手を当てた直樹がピタリと動きを止めた。
「ひょっとしたら〈裏画面〉があるのかもしれない」
「裏画面?」
初めて聞く言葉に、首をかしげる。
自分の部屋へ戻る直樹の足音が聞こえ、
「お兄ちゃーん」
と声をかける。アプリに詳しい救世主の存在を忘れていた。
直樹が勤めていた前の会社はたしか、アプリを開発する会社だったはず。
「どうした?」
遠慮しているのかドアを開けずに直樹が尋ねるので、部屋へ招き入れた。
「ねぇ、このアプリ見てよ」
半ば強引に椅子に座らせると、スマホを渡しこれまでの経緯を説明した。
気軽な様子だった直樹も、MOVERの話をすると真剣な目になり画面に集中してくれた。
指先でアプリのメニューを行ったり来たりしながら、眉をひそめる。
「その友達はMOVERでアップされている動画を見て怖くなり芽衣に電話してきたってことか」
「でも、どこを探しても赤い画面が見つからないの」
「だとしたら、投稿者自身が動画を削除した可能性がある。ほら、ここに〈削除〉ボタンがある。最初にパスワードを設定しておけば、いつでも消すことができるんだ」
「でも、沙希は何度も赤い画面のことを言っていたんだよ。投稿の内容についてのことじゃなかったと思う」
「ふむ」とあごに手を当てた直樹がピタリと動きを止めた。
「ひょっとしたら〈裏画面〉があるのかもしれない」
「裏画面?」
初めて聞く言葉に、首をかしげる。