翌日、朝食を食べ終えると、クライブがやってくる。
 「それでは、今日から訓練を始める。まずは体力づくりから始めよう。その前にけがをしないように体をほぐしていくぞ。」
 そう言うと前世で言うところのストレッチを始める。それが終わると、いよいよ体力づくりを始める。
 「準備運動を始めようか。それではお屋敷の回りを走る。初日なので俺がクリフ君の前を走る、クリフ君は俺の走り方をまねながら自分のペースで私の後を付いて走ってきてくれ。」
 そう言うとクライブ師匠は走りだす。クリフは後に続きはしる。屋敷の回りを2周すると、少し休むとまた屋敷の回りを2周するこれを5セット行う。そして、10分ほど休憩するとクライブ師匠は短剣ほどの長さの木の枝で作った木刀の様なものを渡される。
 「クリフ君年齢だと長剣は、まだ扱えないから、短剣の扱い方を習ってもらう。」
 「はい、師匠!」
 「よろしい、短剣では戦闘の時には、切るのではなく突き刺すか、敵の攻撃を受けることが基本です。短剣は長剣と違い腕力を使って叩き切るのではなく、速さで切り裂く為、大したダメージは与えられないためだ。」
 「はい!よくわかりました。」
 「では、短剣に攻撃の型などはないので、組み手形式で訓練を行う。まずは短剣1本で15分間打ち合って10分休憩を5セット行うぞ。では構えて。始め!」
 そして、クライブ師匠との、組み手形式の稽古を5セット行うと今日の戦闘訓練は終了する。そして、セシリー先生が昼食の10分程前にやってきた。家庭教師の二人は、僕が学園に通うようになるまでは伯爵邸で昼食を僕たちと食べることになる。それはライトフェロー伯爵家の伝統である。
 「クリフ君、初日の戦闘訓練はどう?つづけられそう?」
 「はい、まだ一日目なのですがクライブ師匠の教え方は分かりやすいです。」
「そう、それは良かった、頑張りましょう。昼食後は私の番だからよろしくね!?」
 そんな風に会話をしていると、メイドが昼食に呼びに来る。そして全員が席につくと「クライブ君、セシリーちゃん久しぶりね、クリフのことどうぞよろしくね!?」
 「はいサリア様、こちらこそよろしくお願いいたします。」
 そう言うと創造神様への祈りを捧げ昼食をすませる。そして、セシリー先生の座学の時間である。
  「クリフ君、今日からお願いね!?」
 「はいセシリー先生、よろしくお願いします。」
 「いい返事ね、今日からこの世界の様々な事を学んでもらいます。まずこの世界の言葉からね!?」
 セシリー先生はそう言うと、一冊の本を取り出す。それはこの世界の言語を記すための文字の教本である。この教本にはこの世界共通の前世でいえば、50音やアルファベットにあたる文字を書くためのお手本や簡単な単語が書かれている。
 「クリフ君にはこの本を使ってこの世界の言葉を勉強していきます。ではまず文字を書く練習をします。本を開いて、一文字ずつ書いていきます。まず2ページ目の最初の一文字目を10個書いてください。」
 セシリー先生にそう言われて一文字目を書き終えると続けて同じことを17文字分行う、そして5分休憩すると一文字10個17文字書いて5分休憩を続け5回目で次に移る、
 「はい、それでは次に、創造神、グロシアナ、この世界の名前のグロシア、この国の名前のクロアール、ライトフェローを10個ずつ書いてください。」
 セシリー先生の言うとおり書き終わると、また同じく5分休憩をとり同じく5回繰り返す。書き取りが終わると次は簡単な足し算、引き算を教わると一日目を終える。
 そして、メイドに一日目の座学を終えたことを告げるとメイドが部屋をでていった。しばらくすると来客用の部屋に呼ばれセシリー先生と僕は僕の部屋から来客用の部屋に入る。すると部屋ではティーセットとともに母上がいた。そして母上は僕たちに声をかけてくる。
 「二人ともお疲れ様、セシリーちゃん久しぶりにクリフとお茶にお茶菓子で、お茶会をしましょう!?クリフは礼儀作法の練習をかねてますから、しっかり学ぶのですよ。」
 さらに、母上から今まで、家庭教師の二人に教わっている間は、お茶会が毎日続くそうである。お茶会を終えてセシリー先生がかえっていくと夕食までの間今日の復習をして過ごし夕食を食べ終えると長かった一日目が終わる。
 家庭教師に文武両面を教わる2日目、クライブと準備運動、走り込み、組み手形式の短剣の稽古、セシリー先生の指示での19の文字と、簡単な単語の書き取りを終えると母上とセシリー先生とのお茶会での礼儀作法と続く。この世界では1週間は6日で週末二日は休息日であり、世間では、貴族、庶民問わずどちらか一日、または二日とも仕事をお休みにしており、明日と明後日は休息日で、家庭教師の二人はお休みである。その二日は家庭教師に教わった事を思い出しながら自主練習を行う、そして3日目、クライブ師匠との体力づくりと戦闘訓練を終えると昼食をとり、セシリー先生の座学である。17の文字の書き取りは休みの日の自主練で見本を見ずに書けるようになったため、書き取りは10個の単語とその単語の説明を書き取りする。この世界の言葉は9つの子音と5つの母音による基本となる言葉とその言葉の意味の組み合わせによる単語に過去、未來、疑問をあらわす、3つの文字を組み合わせて文章を作ることができるのである。そして文法の勉強へとうつっていった。