遠くを眺める千穂の雰囲気が一瞬、澄佳に似ているように啓は思ったが、心の中にそっと閉じこめた。
「さっ、もう暗くなりますよ!帰りましょう?」
そう言って窓を閉めると、先程見せた大人びた雰囲気とは違い、直ぐに明るい千穂に戻った。
「あぁ、そうだな。こんな時間までごめんな、気をつけて帰れよ」
「ありがとうございます!じゃあ、また明日」
そう言って2人は家に帰った。
「ただいま!お姉ちゃんー?」
千穂は帰ってきて早々、澄佳を呼んだ。
廃部寸前になっていること、啓先輩のこと。
今日あった出来事を聞いたり報告するため、1番に話すのだ。
「おかえり、ちょっと遅かったね」
澄佳は部屋からリビングまで出てきてくれた。
「それがね?お姉ちゃんと同じ写真部に入部しようと思って顧問の先生に言ったら、ここは廃部寸前だ!とか言われて。
お姉ちゃんから聞いてなかったから、そんなこと言われたら普通に驚くでしょ?」
「言ってなかったっけ?言ったはずだと思うんだけど」
「え、本当?言われてないよ?」
「ちぃちゃん、いつも良い出来事しか聞いてなかったから、廃部寸前なんて言われても頭に残らず、楽しいお話に押し出されただけだと思うなぁ」