貰った鍵で部室のドアを開けると、想像していた部室とは全く違った。


中はホコリっぽく掃除が必要な状態で、とてもじゃないけど人が使ってる様子は無かった。


どうやら写真部の人達はこの部室しばらく使ってないらしい。


「これだけ汚ければ写真部を気になった新入生も入部する気なくなるよね、普通に考えれば。初めの仕事かな、よーしっ、頑張ろっと」


千穂は戸棚や机の上、窓やみぞの汚れを拭きとったあと、床の掃き掃除などを終わらせた。


「こんな感じで大丈夫かな?結構、綺麗(きれい)になったよね?あとこれ…」


壁に掛けてあったのは、古びた2年前の少し大きめのカレンダー。


もう必要ないだろうと思いそれも捨てようと手に取ると、その後ろに写真が貼ってあるコルクボードがあった。


貼ってあったのは、過去にいた部員が撮ったであろう綺麗な写真だった。


千穂が撮るのは、ほぼ空の写真だけだが、そこにあるのは植物、生き物、地元の風景など様々だった。


カレンダーが上にあったおかげか、コルクボードは、あまりホコリをかぶってはいなかった。


そんな中、千穂の心を動かす素敵な写真があった。


それは何の変哲(へんてつ)もない空の写真だが、千穂にはそういう空が大好きで心を奪われてしまった。