「じゃあまた後でね。ちゃんと話しかけるんだよ」
学校に着くと、学年の違う澄佳は
すたすたと自分のクラスまで歩いて行ってしまった。
この学校には、家から遠い訳でもないので中学から一緒の人も数人はいる。
でも、千穂と特別仲のいい人がいる訳じゃないので、そこが千穂にとっての問題だった。
とりあえず様子を見ようと静かにクラスに入り、自分の席である前から3番目の席に座った。
「ねぇ、北島さんだよね?」
周りは案外、千穂に関心があるようで座っただけで声をかけて来る人がいた。
「そうだけど…」
千穂は慣れれば明るく気軽に話せるが、姉以外の周りの人に関心が無かった為、今更どう会話したらいいのかたまに分からなくなることがある。
千穂はまさに今、どう答えるのが正解なのかよく分かっていない。
正解がある訳では無いのに、どうしても思うように言葉が出てこない。
これが人見知りっていうものなのか?と、初めて自分で思い始めた千穂だった。
「私、北島さんと同じ中学だったよ!毎年別のクラスで話しかけるタイミング分かんなくて、今になって話しかけるチャンス出来て嬉しかったんだよ!」