サッカー部の部室の前に立つ。中から声は聞こえないが、ドアの隙間からは光が外に漏れている。 トン、トン、と小さく胸を拳で叩く。 そしてその手で、部室のドアをノックしようとした時―――――。 「大地先輩」 寸止めで、その手を止めた。 聞いたことのある声に、すぐに琴美ちゃんだと分かった。そして、中に日向君が居ることも。 早くどけばいいのに、足が言うことを聞かない。