「健人・・・っ!」


莉奈が呼ぶ前に、葉月君は何も言わずに走り出した。ジャージも着ないでユニホームのまま。



「ごめん美空!あたしちょっと行って、」



莉奈の言葉を遮って、その腕を掴んだのは平松君だった。



「翔也・・・」

「行くな」

「でも、健人が・・・!」

「駄目だ、行かせない」



まっすぐな眼差しの平松君。


こんなに真剣で少し怒りの感情が込められてる彼の瞳を、私は初めてみた気がする。



「莉奈、私が行ってくるから葉月君の事は心配しないで・・・!」

「み、そら」