素早くドアを静かに閉めた。

少しだけ開けたドアの隙間から見えたもの、それは。



「っ」



平松と莉奈がキスをしているシーンだった。



「・・・くそがっ・・・」



中の二人に聞こえないように小さく、悔しさを込めて呟く。

ポケットに入っているそれを強く握り締めた。

別に今じゃなくてもよかった。

だけどやっぱり修学旅行中に渡したかったんだ。

相川に言われた、あのストラップを。





「・・・・・・葉月君・・・?」