「ここが例の心霊スポットか。ただのボロ屋じゃないか…。」

俺の名前は、阿笠哂 翔吾。中学二年生。

俺の友達が昨日心霊スポットに行って
どうやら、失くし物をしたらしく、
そのお供に今俺はここにいる。

昨日他の友達と行った時に半ば強制的に連れられて行かれたらしい。

情けない声で頼むこいつに。
仕方ないなあ…と着いてきた。

昨日行ったヤツらは「平気だったし何もなかったぜ。楽勝楽勝。」と笑い飛ばしていた。

しかし、臆病な里山は1人でまた心霊スポットに出向くのは困難な様だった。

俺も里山も部活帰りだし、田舎はすぐ暗くなる。って事で夜の心霊スポット巡りとなった訳だ。

方向も同じだし。
付き合っても、まあ、いっか。ってとこ。

「おい。見つかったかー?」

「うん!うん!見つかった!!
良かったあー。すぐあって。」

「しかし、心霊スポットと言う割には何もないじゃんか。心霊スポットってこんなもんなんだな。」と余裕な笑顔で言った。

「えー…阿笠哂君怖くないのー…?」

「あったりまえだろ。こんななんもないとこ。」

「んじゃ、帰るぞ。」
「う、うん…」

2人を家の中の暗闇から覗く何か。
「またか…」(運の悪い奴だ…。)

悲しそうにその背中を見つめた。が、
2人の方へ歩いて近付く。

「ただいまー!…なんてね…」

暗い家の電気をつける。
両親は共働きで長くまで帰ってこない。

チャッチャカ終わらせてっと。

「ふぅー。おやすみっ。」

ぬぼーっと。悲しそうに翔吾のベットの横に立ち、覗き込む。

そして、離れて、寝ている翔吾をぼーっと生気のない顔と眼差しで座って眺めるのだった。