「みーちゃん」
「わたしっ、……もう部活行かないと」
「うん。僕はここにいるから。間宮のところへは行かないから安心して。帰り、ここにはいないかもしれないから、連絡して」
「今日は無理しなくても……」
「ちゃんと、連絡してね」
「は、い」
……
そして閉ざされる図書室の扉。閉めたのは、顔面蒼白な金子さん。その口元は口角が上がっていた。
わたしは振り返れずに廊下をそっと歩く。なんだろう。窓際の端しか歩けない。
……お似合いに、見えてしまった二人の姿。
「ああ、そっか」
そうなんだ。
わたしはここまで分かっていなかったのか。百瀬のことも、金子さんのことも、――。今やっと。
よくある設定。よくあるお話。
わたしは、金子さんの指摘どおりだ。いいように扱ってた。
正直驚いた。力が抜けた。