「あ、れ?」


「……」


言葉を出し切ったと同時に、金子さんの白く儚げな顔が蒼白になり、身体が膝から崩れ落ちた。


「金子さんっ!?」


「あなたに触られたくありませんっ!!」


助け起こそうとした手は言霊に捕らえられたみたいに動けなくなってしまった。


「大丈夫っ? 金子さんっ」


捕らえられることのなかった百瀬が金子さんに駆けより、その小さく丸まってしまった身体を支える。消えていなくなってしまいそうな儚い女の子は、百瀬の傍で超絶的に綺麗だった。


「百瀬さん。大、丈夫ですよ」


「そんなわけないでしょう。保健室行くよっ」


百瀬は、わたしをすり抜けて金子さんにしゃがみこんだ。


「いいえ。――以前お話したことを覚えていますか? 私は、図書室でないと死んでしまうのですよ」


「そんな冗談今はなしっ」


「本当です。なので――」


百瀬に支えられながら、金子さんはわたしに言った。こちらを見ることはなく。


「ここでしばらく休んで判断したいので、日紫喜みのりさんにはここから出ていってほしいです」