なぜか、百瀬は凄く焦っている。


「どうしたの? 百瀬」


「みーちゃん間宮に何かされたっ!?」


「ちょっ、百瀬息切れてるっ。なんでそんなに走ってるのよ?」


正面衝突寸前まで走ってきた百瀬が肩を掴んでくる。逃げられなくしてきたあと、百瀬の表情が曇った。


「間宮にっ、」


「大丈夫? それより、どうして間宮くんといたこと知ってるの?」


「僕のクラスから、生徒会室が見えるんだ。……待ってて。間宮に今謝らせるから。殴ってくるからっ」


「ちょっと百瀬っ。間宮くん悪くないからっ」


勇む百瀬のシャツを掴んで引き留めると目についた。その拳には血管が浮かんでいて、本当に怒っていて。


「……だったら、何でみーちゃんは泣いてるの?」


声にも、あからさまに怒気を含んでいた。こんな様子はなかなかないことで、どうやったら平常を取り戻してくれるのか探りながら百瀬を宥める。けれども、それには多くの時間を要するんだろう。


「っ、それは……。……部活前に話すから図書室で待ってて。もうすぐ昼休み終わっちゃうし」


「……くそっ」