こうして、百瀬と歩くのは久しぶりで。部活絡みではあるけど、小夜や大輔とはずっと変わらず一緒だったと思う。
小さい頃はずっと一緒にいた。
いつ頃からなのか……?
――そう、中学入ってから。
当然なことではあるんだと、今では理解する。でも当時、思春期の恥じらいに負けたと憤ったわたしは、一時期、百瀬を無視していたなと思い返す。
怒りの感情は長くは続かない。消えてからは、勉強を教えてもらったり、時々は遊んだりもする。
けど、昔みたいには戻らない。
そのことに特に問題はない。
きっと、成長するってこういうことだと悟ってみた。
久しぶりに四人で帰った、そして、今はふたりで歩く帰り道。
わたしのことを、相変わらずみーちゃんと呼ぶ百瀬。
このままだと世界の記録を更新してしまうんじゃないかと心配な日々伸びる大輔の身長。
毎日毎日、綺麗に大人っぽくなっていっているように感じて仕方がない小夜。
背伸びはしないように、けど、わかっていない大人にはなりたくないともがくわたし。
変わったことと、変わらないもの。どっちが多いんだろうと考えている間に家に到着した。
「百瀬様、ありがとうございました」
「何それ。――じゃあ、また明日」
カッコつけたのか、百瀬は振り返らずに手をヒラヒラさせて、三軒隣の自宅へ帰っていった。バカ。百瀬だって『何それ』だ。夕焼けに染まりすぎるくらいな色白の肌と骨が細そうな身体では似合わないんだから。
なんて、ありがとうと音なく口元を動かしながら、その背中を見送った。