「――百瀬が、無理矢理していることなら、助けようか?」


思わぬところで間宮くんの優しさを見た。突然わたしが泣いてしまったことに動揺し、声色がまろやかになる。慰めの心でも持ってしまったんだろうか。


けれども。


どうやら間宮くんには違う意味で捉えられてしまったみたいだ。でも、それは違うよ。


「違うよ。間宮くんが、洋助さんの話をするから」


だって仕方がないじゃない。あの人を、あの人との出来事を思い出す度、わたしはまだ涙が止まらなくなってしまう。


間宮くんは落ちた卵焼きを拾うと再び席についた。


「そう。慰めないけど、見なかったことにはしておくよ」


「――別に、恥ずかしいことじゃないから変な気遣いいらないよ。泣くことくらい大したことじゃない。恥じるべきは、わたしが洋助さんにとった行動のほう」


「そうかい? ボクとしてはそちらのほうが理解出来ないね」


「出来なくていいよ。……あと、間宮くん。百瀬は悪くないから」


この誤解は絶対になくしておかなければいけないことだった。


「百瀬はハッキリ言ってくれたのに。今だって、多分ずっとそうしてくれてるのに。わたしが分からないだけなんだよ。だから……」