「間宮くんが、そういうふうに思うことじゃないよ」
「大丈夫。悩んでいないから」
「……」
「むしろ、彼氏にあんなに守ってもらえるならいいんじゃないかと。――でも、おかしいね。百瀬は彼氏じゃないって、朝に日紫喜が。あのときのボクはきっと間の抜けた表情をしていたと思うんだけど、どうだったかな?」
「……」
「言えない関係なのかい? まさかっ、身体だけの関け……っ!!」
「ちがっ!! そんなんじゃないっ!!」
机を思いきり叩き、食べかけのおにぎりを床に落としてしまった。
およろ握った米とは思えない重い音を立てて転がったおにぎりを拾うためにしゃがみこむ。
「……違うの。わたしが……分かんないから……」
転がった拍子におにぎりの中から飛び出した卵焼きを拾ってくれようと、間宮くんも席を立つ。
「――、日紫喜……何故に泣いているんだい?」
埃まみれのおにぎりを握りながら、せめて気持ちが落ち着くまではとしていたのに、間宮くんのせいで涙は流れるままだった。指摘されると、わたしは弱い。