昨日まで何の印象もなかった間宮くんを、わたしはこの短時間で大嫌いになった。


「……ぃ」


声の震えよ止まれ。


「どうしたんだい? ――ボクが撮ったかもしれない画像を広められたくなければ、もしくは吹聴してほしくなければ、クラス委員をやればいい。純情だね。彼氏との仲むつまじい光景なだけなのに」


「……ない」


「それは駄目だという表情か。可笑しいや。注目されるのは慣れているのはずなのに。ほら、夏の一件で。あれは凄……」


「付き合ってないっ!!」


「っ」


なんなんだこの間宮くんの嫌な感じは。洋助さんのことまで持ち出して。間宮くんなんかにあの人のことを口に出してほしくない。


それに、百瀬まで巻き込めない。百瀬はそれを喜んで良しとするからこそ巻き込めない。これ以上、わたしなんかのことで。


曖昧であやふやなわたしなんかのことで。


「……早紀ちゃん帰ってくるまでやってやるわよ。クラス委員」


満足げに間宮くんは頷いたと同時にチャイムが鳴る。


「いいね。交渉は成立だ」


わたしは後ろの扉から、間宮くんは前から教室へ戻り、お昼休みまで目を合わさなかったし口もきかなかった。


……本当は、ずっと、永遠にそうしてたかったんだけど。