住宅街の交差点。四人の家はここからもうすぐのところだけど、小夜と大輔とはここでサヨナラとなる。
「じゃね」
「また明日」
帰り道に百瀬が加わったことを除いて、どうやら心配なことは起こらなかった。ここまで来れば大丈夫だ、と思う。
ここから家まではそう遠くない。それでも、やっぱり――ああ、たとえ豆モヤシでも、なんて安心出来ること。
気遣いバツグンの百瀬に感謝。あとでアイスを差し入れしよう。
「――ねえ、百瀬」
アイスを一週間分納めるから。
「おじいちゃんがね、もし、これからもいたりなんかしたら、わたしもなるべくも百瀬の行き帰りに合わせるから、さ」
「うん、わかってる。けど泳ぎたいだろ。そっちを優先しなよ、部活なんだし。僕は待ってるから。今日みたいにみんなで帰るの、やっぱり楽しいしさ」
「ありがとう」
こんなんじゃ、アイスは倍にしなくてはいけなくなる。けど、助かる。
「いえいえ。みーちゃんが女の子の脳で安心したよ」
「っ!?」
「って、大輔が言ってた」
「……」
失礼な物言いに、耳でも強く引っ張ってやろうと思った手は、矛先がずれてしまっちめ引っ込みがつかないまま、宙ぶらりんになってしまった。
恥ずかしくて、心中で勝手に攻撃した。
……アイスは、三日分に変更とする。