「日紫喜みのりさんが適任かと」
推薦の言葉を聞いて、凍りついていたわたし以外の女子たちが一斉に拍手した。即効売られたっ。肩の荷が一瞬で載って降りてくれたのは分からないでもない。つられて男子も手を叩くものだから腹が立つ。
「ちょっ、ちょっと待ってよ!! せめてくじ引きっ、アミダとかでっ!!」
「いやいや日紫喜さん。この拍手が君には聴こえないのかい?」
「間宮くん面白おかしく煽らないでよっ!!」
「ふっ」
「笑わないでっ!!」
…………
結局、わたしのささやかな声は先生に届くことはなく、わたし以外の満場一致でホームルームは終了してしまった。
流れるように始まってしまった授業のあと、先生よりも先に教室を出ていく間宮くんを追いかけた。
「おや、日紫喜さん」
大人みたいな余裕の表情で、まるでわたしが来るのを知っていたふうに、間宮くんは廊下で腕を組みながら佇んでいた。