校門を出たところで百瀬に訊ねてみた。
「百瀬、間宮くんと仲良かったんだね。うわっ、外寒いっ。夕日もだいぶ下の方だ」
「おしくらまんじゅうでもして帰る? 去年同じクラスだったよ。席も近かった。でも喋ったのは久しぶり」
「えっ、じゃあもっと話してても良かったんだよ。お互い時間ありそうだったのに。おしくらまんじゅうとか真冬でもないしそれはいいや。何なら走って帰るとかのが効果的だと思う」
「……」
「どうしたの?」
何故か、百瀬は首を傾けて眉を寄せた。そんなに走るのが嫌だったのかと思ったら、それはお門違いで相当馬鹿な短絡的推理だった。
「別に、間宮とは話そうとしたらいつでも出来るよ。……僕は別に、時間はあるけど暇はなかったしね」
「えっと……、ごめん? だよね?」
「みーちゃん。訳もわからず謝らないこと」
「はい」
知らずのうちに長く伸びていた影が、少しだけ近づいた。まるでそれは、ふたりが手を繋いでいるみたいに見えて。
「別に僕は怒ってないよ。ただ、僕の優先事項を蔑ろにはしないように」
「……」
「みーちゃん?」
わかったとは言えず、頷くことで誤魔化してしまった。
そう。誤魔化したんだ。