どう答えていいか迷って下げてしまった顔を上げられない。


だって……それはやっぱりそうことで。そういう意味、だよね?


プリーツが変形してしまうくらいスカートを握りしめていると、ふいに頭に柔らかい感触があたった。


「もし、だよ。もし、みーちゃんが間近になってもひとりきりだったら、同じくひとりきりの僕を哀れんでケーキを食べに来てくれないかなって、感じでよろしく」


ふわりと、百瀬の掌が私の頭を撫でていった。


「でも……」


「考えてくれてるのはちゃんと解ってるから。ありがとう――、そろそろ帰ろうか。本戻してくるからちょっとだけ待ってて」


そう言い、わたしの分まで本を回収して、百瀬は本棚が並ぶ奥へと消えていった。


「も……っ」


その背中が慈愛に満ち過ぎていて、そうさせてしまっている原因は自分だと、いたたまれなくなってしまい、百瀬を追いかけた。


そんなことをしたって、現状からわたしはきっと抜け出せないけど。でも、優しい百瀬に謝らなきゃと思って。