百瀬の手がわたしにもう一度伸びてきて、今度は指で指を絡めとられる。思わず力が入ると、お互いの関節が軋むくらい痛かった。


「うん。僕は馬鹿だ。そうなってしまうくらい、みーちゃんが好きだ。ずっと一緒で、欠点もいいところも全部見てきて、僕はずっと好きだった」


――ああ。百瀬はきっとわかってる。はっきりした確証がないものに対して、地に足をつけられないわたしの性格を。だから、こんなにもはっきりと、伝えてくれる。


それは逃げ場もないほどに。


「みーちゃん、好きだよ」


けど、焦らしてたのは意地悪だ。こんな、最後の最後でなんて。


確証を早く知りたいと思ってしまったわたしは……。





いつもと同じ百瀬の部屋。ずっと一緒だったのに、まるで数年ぶりの再会みたいに、百瀬の姿が違って見えるなんて。


「やっと泣き止んだね」


「……泣き止ませる為に言ってたの?」


「いや。とことん本音」


ううん。わたしも、何かが違う気がする。百瀬だけじゃない。


「みーちゃんは、いつも自分だけが悪いって思ってしまってるけど、僕が一番悪人だよ。洋助さんも周囲の状況も全部、みーちゃんが欲しくて利用した。――成果はあった?」