けど、わたしの携帯電話はスカートのポケットの中にあって、お尻と一緒に埋まってしまっている。
「百瀬のはっ?」
「うっ、うんっ。待ってて」
一旦百瀬の姿が見えなくなり、乱暴にカバンを漁る音が響く。
「待ってね、みーちゃん」
ケータイは携帯するから便利なのに。百瀬はそうではないみたいで、捜索の音はまだ続く。見つからないのは家にあるのか、はたまた焦らせてしまっているのか。何にしても申し訳なくなってくる。
「百瀬。助っ人を求めに行ってもらうのも手かも」
「みーちゃん置いてできるわけないだろっ!」
「……、ごめん」
「っ!! ごめん……」
穴の中は大変だ。途端に無音になってしまった外の様子が、百瀬の気持ちが、より一層わからなくなる。決して怒らせようと言ったんじゃないのに。早く、帰らせてあげたかっただけなのに。
ため息が聞こえ、百瀬が再び顔を覗かせた。
「……ごめん。みーちゃんに怖い思いはさせたくなくて、声が大きくなった。結局同じだね」
「っ、……バーカ」
そんな女の子扱いは照れる。そんな、わたしを守るみたいな顔はしないでほしい。
そんな見たことない顔で、そんな、耳にしたことがない声と言葉は、どうしていいかわからなくなるよ。