「僕だってこうして可能な時だけだよ。ほとんどが先生。あと、絶対に思ってるだろうけど、みーちゃんはいいんだよ」
と、部活に専念するよう、わたしには言って。
確かに、花束を受け取らないわたしは、せいぜい付き合わせている部活に精を出し、時折、百瀬とおじいちゃんが無事か目を光らせるしかない。
他にもできることを思いついたら、それはその場で実行しよう。
百瀬と、こんなに時間を過ごすことは久しぶりで。
いずれは話題がなくなったりして困るんだろうか……? 密かに危惧していたこともあったけど、それは杞憂だった。
一緒の時間を過ごしていなかったことは、逆に会話の幅が広がったように思う。
昔みたいに同一じゃない、お互いが興味を持つ様々なことを交互に話す行き帰りの道は楽しかった。特に、百瀬が読み連ねた本の話は、部活帰りに図書室へ寄って、久しぶりに貸出をしてもらうくらいに興味深かった。
百瀬の声によって代弁される幾多の本の話は、わたしを、未知の世界へ連れて行ってくれて――そう。夢の列車に乗ったみたいだった。