会話に加わってこなかった百瀬を振り返ると、その頭はかくんと折れ曲がり、地面を向いていた。


「――どうしたの? 百瀬」


百瀬がなんだか元気がない。訊いても、上げてくれた頭によって見えた顔は寂しげに笑うだけで、なかなか口を開こうとはしなかった。




小夜たちと別れてふたりになり、もうすぐ家だというところで、何故か謝られた。


ごめん、って、なんで百瀬が言うの?


「……ごめん、みーちゃん。嫌なこと思い出させた。口にさせてしまった」


さっき話した昔の不審者諸々のことだろうか。気にすることじゃないのに。


「大袈裟にされるほうが嫌だ。原因わかってスッキリしてる。被害とか、昔も今も何もないんだし。――ありがとね、百瀬。あとでアイスを届けてあげよう」


「トラウマって……充分に被害じゃないか」


「違うよ。そんなことない」


「……っ」


「平気なんだから」


だから、元気にしていて。


「……アイス、前もらったのがまだ残ってるよ。一日一個のみーちゃんと一緒にしないでほしい。お腹が痛くなる」


「軟弱な腸だなあ。わたしなんて三個のときだってあるんだからね?」


「みーちゃん。それ、誇らしげに言うことじゃないと、僕は思うよ」


胸を張るわたしに対して、呆れたふうに百瀬が笑う。


うん。


そう。そうやって、いつもみたいにしていて。