「じゃあ、まだまだだね、僕は」


「それはわたしでしょ。傷ついた顔しないでよ。いいなって言ってるの、そういうとこ変わらないのは。成長もできてて、前よりもっと周りを大切にできるんなら最高じゃない。憧れるよ」


褒めて褒めて、こんなに称えたのに、百瀬は不服そうだ。


今日は小夜と大輔は居残り。顧問に呼ばれて校門で引き返していった。一緒なら、もっと上手く言い合えただろうに。こだわった百瀬は結構やっかいなんだ。


大きくため息をつかれる。


「……みーちゃんの欠点は、さっきも言ったと思うけど……」


「当たっているので突き刺さります」


「卑屈になりすぎなんだよ。誰かの長所をちゃんと見つけられるんなら、人の機微を知れるんなら、みーちゃんは、そこまで駄目人間じゃないんだから。自分の足をさ、もう少し軽くさせてあげようよ」


「――ありがと」


このままでいいなんてことは思っていない。わたしなんかがと、おこがましく感じてしまっても、そろそろ踏み出す時なんだ。周囲の状況だってもう差し迫ってる。進路希望や、こうして大人だと感じてしまう友人たち。他にもたくさん。


それはもう遅すぎるのかもしれないけど。