「もう電話はいつでも繋がるし、終わったら連絡してよ、みーちゃん。それに、朝も一緒に行くことにしたから」


しなくてもいい罪悪感からか、百瀬は使命感に燃えていていつもは見ない熱で溢れている。また倒れさせちゃったら嫌だな。今日の予報も気温は上昇する一方だった。


「……百瀬、焦って変なお願いしちゃってごめんね。電話やメールが繋がりやすくなったのは嬉しいけど。――もしかして、この為に機種変してくれた?」


不安なことが無くなったわけじゃないし、ありがたいとも思う。けど、そんなに慎重に扱われることでもないから申し訳ない。出来事も、わたし自身も。


「部活もさ、遠慮しないで全部出席でいいから。夏休みの間も」


それは……全部面倒見てくれると?


「っ、だからもうっ……」


「必要、だろう? 怯えてないっていうの?」


あまりない言葉に詰まってしまうわたしに対して、あまりない言葉を被せてくる百瀬に、何故か飲み込まれてしまった。強引にも感じる百瀬に驚いているうちに、遅刻するよと頭を他ごとに誘導されてしまう。


「言い忘れてた。みーちゃん、おはよう。とりあえず学校へ行こう」


「……おはよ、う」


次の一手が出せないまま、うやむやに歩き出してしまった。