「ボクは――」
勘違いかもしれい。けど、見上げたままで目を逸らさなかったわたしにはそう見えたんだ。
間宮くんの睫毛は一瞬震えた。声にも、揺らぎを感じた。
「――最初は、外見に惹かれたよ。良く似ていたんだ。入学式の時だった。けれど、日紫喜はあんなに芯は強くなくてさ、むしろ臆病で考えもなしで直感型で。全然違うんだ。……似ていると日紫喜を追いかけたじいさまが、だからボクは嫌いだったよ」
「素敵な人だったんだね」
夏の日の夜、たった数時間で焦がれてしまえるような、そんな人だったんだ。間宮くんと洋助さんの大切な人は。
「そうだね。――けれど信じてくれないかと。何せ突拍子もないことだからな。事実、昨日まではそうだっただろう?」
「っ、そんなこともあるかなって、思えることとかが昨日あって。でもっ、間宮くんだから信じられた部分もたくさんあるの」
言い切ると、間宮くんは視線をわたしから窓の外の景色へと移した。横顔は、柔和。
居心地が……昨日から間宮くんは何故か優しくて、どう接していいのか混乱する。それが伝わってしまったようで。
「もう意地悪はしないさ。昨日言っただろう。日紫喜には、ずっとこういうふうに接していれば、と。」
「そしたら、わたしも間宮くんに怒ってばかりはしなかったよ」
「好きには、なってもらえたのかな?」