「印象づけようと、ガラにもなく焦ってしまったよ」


らしくなく、間宮くんはポケットからキャンディーを取り出し、二つのうちひとつをわたしの手のひらに収めていった。


「ありがと」


「そうやって餌付けされている様子は、羨ましくて嫉妬して、どうにかなってしまいそうだった」


「っ」


促され、メジャーなラッピングの包みを開けて口に放り込むと、甘い苺の味。もう少ししたら、もっと甘い練乳を舌に感じるはず。


「日紫喜は、お馬鹿なままでよかったんだ。――何も分からないままで、そうしてボクに翻弄されて、そうして、訳も分からないままで、ボクのものになってくれれば、よかったんだ」


「っ、でもっ、そんなの好きってことじゃ……」


わたしの言いたいことは、今回は珍しく真実だと確信している。でも、間宮くんはわたしを黙らせるように言葉を重ねてきた。


「解っているよ。――けれど、ボクの隣にいてくれたら、うんと大切にして可愛がってずっとずっと抱きしめて、好きにさせてみせたさ」


「……」


「訂正。好きにさせてみせると、必死に足掻いていたよ。きっと」


「でも、わたしは」


「知ってる。日紫喜よりずっと知っているよ。そんなことは」