いつまでもこうしていたいという気持ちと現実世界は裏腹だ。パタパタと足音をさせながら戻ってきた養護の先生と、休み時間を知らせるチャイムの音で、甘いひとときは終了となった。
「お腹が痛くて痛くて……」
足音をわたしより一歩早く察知した百瀬は、素早くわたしと距離をとっていて、そんなことを平然と言ってのけた。
って、わたしも同じようなことを言ってベッドに潜り込んだんだっけ。
痛い痛いと伝える百瀬の顔は、けれど始終にやけていて、先生は百瀬を保健室から追い出すことを躊躇わなかった。
二人のやりとりを眺めるわたしには、先生は相変わらず優しかったけど。
もうすぐ休み時間も終わるからと退散しようとした百瀬に先生は頷いた。そうして、自分のデスクにつき、書類を広げてわたしたちに背中を向けた。
「みーちゃん」
百瀬が声なくわたしを呼ぶ。
応えるために顔を上げると――
「っ!?」
「じゃあ、またあとでね」
――まるで手慣れた人みたいに、わたしの頬にキスを落としていった。
再び振り返った先生により、わたしはベッドへと強制送還となった。
理由は、わたしの顔が真っ赤だったから。
原因は――……
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