「みーちゃんは、やっぱり、怖がりでちょっとズルいね」


「うん」


「僕が、みーちゃんを突き放せるわけないって体感してから言うだもんな。それか、崖っぷちに追い詰められないと、とかさ」


「……ごめんなさい。その通りです」


好きな子と、百瀬が言ってくれたことで、わたしは多分口に出せるようになったんだ。


金子さんの前で、はっきりと好きな子がいると言った百瀬の言葉を聞いて、最大の安堵をしたわたしを思い出し、自惚れが過ぎることこの上ないと顔が熱くなる。


「信じて、くれるの?」


更に赤みの増した顔を見られるのは恥ずかしい。


でも至近距離の百瀬は離れてくれない。


わたしも、離れてほしくない。




お仕置きだと、軽くわたしの頬をつねる百瀬の指は優しかった。それはすぐにするりと解けて、手のひら全体的で撫でられる。


「当然だろ。信じるよ。みーちゃんのことなんて、僕は全部許してしまうし、何やってても可愛くて愛しいんだ。全部が全部、僕はみーちゃんが好きだよ」


「嬉しいけど、甘やかされてばかりなんて、きっと調子乗っちゃうから駄目」


「う~ん。――善処します」