「どこをどうしてそんな考えに至っちゃったのか不明で不愉快だから、それを問いたださなくちゃいけないし、また一から信じてもらわなきゃいけなくて厄介なことこの上ないけど」
「本当、ですね。少し同情します」
「でも、だから――というわけでもないんだ」
「そんなこと、あそこで泣いている人以外分かっています」
「だよね。でも、ちゃんと伝えるよ」
「――はい。私にちゃんと、傷をつけて、下さい」
「ごめん。僕は金子さんとは行けないよ。僕は金子さんを、金子さんが望んでる意味では好きじゃないから。どうやっても、好きで好きで大切で仕方ない子がいるんだ」
「玉砕して死にたくなってしまったら?」
「うん。それでも行かない。僕を好きじゃなくても、行かない。せいぜい、重荷にならないように生きていくよ」
「そんなこと、あるわけないですよ。――――そんなこと、全て分かっていて、それでも好きでしたから、少しばかり冒険をしてみました」
「冒険?」
「はい。今朝、あんなに落ち込んで後悔する百瀬さんの為に、最期に、私に出来ることを……と。あなたの為に、何かしたくなってしまって、ごめんなさい」
「そんなことっ……、ごめんね。――ありがとう」