「えっ?それってどういう……」


考えなしの質問は、あまりにもデリケートな部分に触れてしまうと気づき、口をつぐんだ。わたしなんかには特に訊かれたくないだろう。大嫌いな、わたしには。


「言葉のままの、意味ですよ」


大嫌いなわたしに、金子さんはそれ以上を伝えることはなかった。




「桜の木は、いったい何処にあるのですか?」


「えっ?」


「伺ったのです。図書室からは見えない場所に、それは綺麗な桜があると」


「知ってるけど。体調……」


「問題ないと、言っています。だから――」


けど、金子さんはさっきよりも辛そうで、顔色も蒼白どころじゃない。透けてしまっていると錯覚しそうなくらい。


けど、わたしの制服の袖を掴んで訴える様はあまりにも切実で。


叶えなきゃって、思った。