「――、そう、だったのか」
それは突然、
「そうだったのか。日紫喜とは、初めからこんなふうに接していれば良かったのだな」
閃いたように、間宮くんは呟いた。
「?」
「仕方ないだろう。誰かを好きになったのは二度目で。一度目は――たった数時間の逢瀬だったのだし」
「っ……」
「後で気付くことばかりだ。こと恋愛に関しては」
……
ちゃんと、
ちゃんと、
間宮くんとは話さなくちゃいけないことがある。
「あのっ!!間宮くっ」
「じゃあ、ボクはそろそろ戻るから」
言葉は、遮られたようにも感じた。
「間宮くんっ」
「日紫喜はまだ自由にしているといい」
今度ははっきりと。
保健室の扉が開く音と誰かの気配がして、無理にでも続きを伝えることは出来なくなった。
「じゃあ」
もう今日は悪さはしないと誓った間宮くんは、去り際、ベッドに片膝をつき、とても優しく、わたしの頭を撫でていった。