幸せ者ついでに情けない告白をひとつこぼした。
「わたし……」
「うん。なあに?みのり」
「わたし、怖がりなんだ」
だから、無意識に、作らないようにしていたのかもしれない。
「そんなの昔からだよなあ、小夜?」
「まあ、そうね」
「特別が怖いの。――小夜たち皆が大切だけど、それとは違って」
「うん」
「あんなふうに全身全霊な相手を作ってしまったら、わたしは失うことだけ考えちゃって、きっとお互い辛いだけになっちゃうかも……。そんなわたしを特別なんて言っちゃ駄目だよって、思っちゃう」
大輔がとことん呆れた顔をしていた。
「アホかっ。そんな誰でもなことでここまで悩むなっ」
「うん、だよね。――解ってるの。わたしだけなんてことはないって。……でも、怖くて。前はただただ毎日が幸せで考えたくなかった。夏のことがあってからは、ただただ考えたくなかった」