どれくらい眠ってしまっていたのか、誰かが階段を踏み上がってくる音で目を覚ました。


部屋のドアがノックされると同時に階下からお母さんの声が。


「小夜ちゃんが来てくれたわよー」


「って、おばさんのんびりしてるからもう来ちゃったけど。ヨーグルトを買ってきたから食べよ」


スーパーのビニール袋片手に、小夜はぴょこんと顔を覗かせていた。


――


雑然と散らかった部屋を小夜が適度に片付けてくれ、ローテーブルにヨーグルトとスプーンがセッティングされていくのを、ようやく布団から這い出してベッドの上から眺める。


小夜の作業が終わったとき、わたしは両手を膝で揃え、深々と頭を下げた。


「ごめんなさい」


だって、小夜は腕を組んで仁王立ちをしていたから。


「仮病なんか使うんじゃないの。勿体ないでしょう、学校が午前中だけの日になんて」


「えっ、指摘はそこなの?」


「そうね。――だから心配したの。そんなに休みたいくらい何があったのかな、って」