「日紫喜が分からないのは本当だとも思っているよ。――けれど、百瀬はさ、つけこんでいるだけじゃないかとも強く思う。付き合ってないんだろう?だったら、同じ立場のボクに何をそんなに強く出られるんだい?」
「……」
「それと、日紫喜は百瀬の気持ちを『多分』と言っていたよ。一人で先走って肝心なこと置き去りなんじゃないの?」
違うっ。多分はそんな意味で言ったんじゃないっ!!
追いつめるようなそれらの多くの言葉は、わたしへも。
「日紫喜も、本当は試したかったんじゃないの?ボクを避ければいいのにしなかった。百瀬は今日は見ていなかったかな?」
もう嫌だっ!!もうこれ以上っ。
「いい加減にしてっ!!」
思いきり立ち上がった拍子に椅子は大きな音を立てて倒れていった。ついでに近くの壁に当たって鈍い音。
「さっき動けなかったのは間宮くんがわたしの足を椅子で挟んでたからじゃないっ。試したいなんてそんなこと思ってないっ!!」
「みーちゃん」
「百瀬は黙っててっ。こんなこ……」
「みーちゃんっ!!」
「っ」
わたしを遮った百瀬の声色は、
「みーちゃん、もういいよ。少し頭を冷やしに、行ってくるね」
泣いて、いる?