「みーちゃんっ、大丈夫っ!?」


もう本当に。


なんで百瀬は、こうして、いつもピンチを助けてくれるんだろう。


「――ああ。百瀬か」


「間宮……何やってんだよっ」


いつもより乱暴な言葉、怒りの表情を纏って百瀬はわたしたちの方に足早で向かってくる。


素早い動作でわたしを椅子ごと間宮くんから離してくれ、間に入ってくれた。


「何をしているかって、それは、この前の続きだよ。――どうせ立ち聞きしていたのだから内容を伝える必要はないだろう?」


くっと嘲笑うみたいに喉を鳴らし、間宮くんは百瀬を見上げる。


背中しか見えなかったけど、明らかに百瀬は身体を一瞬硬直させたと思う。罪悪感が、たくさん残っていたんだ。


「百瀬。日紫喜がね、百瀬は悪くないってさ。自分が分からないからなんだってさ」


肩が揺れ、百瀬がわたしに振り返る。


「……みーちゃん、間宮にそんなことまで話したんだね」


「百瀬それはっ……」


「日紫喜は黙っててくれるかい」


「だっ……」


「みーちゃん」


制されたわたしの声は、対抗もできずに黙りこんでしまった。


指先が震えるのは、寒さからなのか、情けなさからなのか……。