からからと、どうしても鳴ってしまう扉を静かに開けると、誰もいない放課後の図書室。
教室には備えてなくて、ここや職員室、特別教室にはあるストーブも今日は点火されていない。
長い机の端には鞄が置かれていたけど、人の気配はなかった。
「百瀬なら先生に呼ばれて職員室」
「っ!?」
つむじの上から声がして、即座に避けて図書室の中へと逃げ込んだ。
「……間宮くん、驚かすのはもうしないって言った。生徒会長は生徒会室へどうぞ」
「驚かさないとは約束していないよ。今日はやることもなくてね。日紫喜に会いに来たんだよ」
「どうぞお構い無く」
荷物の置いてある隣の席へ乱暴に座ると、わたしの隣に間宮くんまでもが座ってくる。
「……間宮くん。どうぞわたしにはお構い無く」
「ああ。日紫喜には構わずに、やりたいようにやることにした」
「っ、そういうことじゃないっ!!」
もう嫌だ。間宮くんとはこんなやりとりばっかりだ。
きっと、普通に話したら面白いことも多いと思うんだ、間宮くんとは。
「……間宮くん」
「ああ。なんだい?」
「もうさ、ドッキリだったとしても後から恥かいてもいいから言うね」